NOeSIS-嘘を吐いた記憶の物語- 千夜の章前編:自由落下

忘れっぽいので、メモをしながら二週目開始。
ネタバレ全開なので要注意。

千夜の章前編:自由落下

自殺志願者の少女
  • 永遠の眠りに就くために目覚ましを使う。そのヒントは、無くなっていた。

眠るように、綺麗に消え去りたい。
それが唯一つの少女の望み。

    • 一夜を失ってすぐくらいに千夜の図った自殺だと思う。ヒントはもちろん赤い本だろう。
千夜との遭遇

時間軸は5月の終わり。

  • 相手の思っていることくらい、簡単に分かる。たとえ相手が死んでいても。
  • 彼女と話せる日没までの時間。夕日があまりにも綺麗で死にたくなる。
  • 彼女の目的は探しもの。
    • もちろん飛び降り自殺する女バス部員、のはず。
  • 日没前、時雨よりも先に去った彼女。
憂姫との会話
  • 会話はパロールの交換。
  • 時雨の腕を引っ張っただけでバテてしまう華奢な憂姫。
    • こよみによる幼少時の両手両足骨折。
  • 優れた法医学者であれば死人の顔からダイイングメッセージを受け取ることができる。医者以外であれば、対人関係のスペシャリストか、さもなくば死者と会話できる存在、すなわち幽霊。
  • わざとややこしい話し方や答えられないような質問をして、それに応答できる人の出現を待っている。オカシナ事を言う自分を人間と認めてくれる、そんな存在を探していたのではないか?
こよみの目覚まし
  • こよみは異常な力持ち
    • しかしいくら力が強いと言っても、尋常ではないだろう?
  • 時雨が起きてきたところで家を出る憂姫。いつもより遅めの時間。
    • つまり時雨が起きてくるのを待ってた、ということだろう。
  • 女バスの朝練に行かないこよみ
    • 自殺事件で女バスはそれどころではないはず。
飛び降り
  • 教師から屋上掃除の説明を求められる。が、掃除を手伝った心優しい先輩のお陰でそこそこに解放。
こよみの話
  • これで5件目。しかし事件開始からまだ4週間。
    • 3人目が第一の被害者。遥が突発的に殺してしまった相手。
  • まだ自殺と決まった訳ではない、とこよみ。事件に時雨を関与させたがらない。
花を添える千夜
  • お話は日没まで、とこだわる彼女。
  • 知識だけではダメ。共感する心を持つことが大事。
  • 人が言葉を発するとき、表情や身振りを幾重にも重ねて、複雑な情報を伝えている。言葉だけでは伝えることができない、言葉の持つ真の意味、それがパロール
  • 昨日時雨を助けたと言う彼女。そして自分にもう近づくな、と。じゃないと死ぬことになる。昨日は助けられたけど、次もそうしてあげられるかは分からない。
  • 死者の声は聞こえない方がいい。聞こえてしまったら、無関係でいられなくなる。
  • 千夜には、飛び降りの現場から、救いを求める声が聞こえる。

【???】
この人は……私が殺したようなものだもの――。

こよみとの帰り道

――やっぱり、5人目だったんだね――。
そう、彼女は呟いた。

憂姫に相談
  • 自殺事件の情報が不自然に隠匿されている。知っているのに教えてくれない。たとえばこよみ。言いたくない理由があるのかな?
  • 学校や警察すらも隠す理由。それは、自殺ではない、ということ。
三度目の逢瀬
  • 先輩が時雨を助けた。それはどういう意味だったのか。
  • 先輩は友達がいないことを気にしている、様子。
  • 自衛のための知識を求める時雨に、余計な知識がかえって死の引き金を引いてしまうかもしれないと警告する。
  • 先輩が名前を告げようとしながらも、先輩は名乗るのをやめてしまう。
自殺事件概要
  • 一人目は学校にほど近い、住宅地の道路。首元を果物ナイフで刺し、出血多量で死亡。何度か刃物をつきたて、数メートル移動した所で事切れた。
  • 二人目は最初の犠牲者の地点からほど近い国道。歩道橋の欄干を乗り越え、地面に向かって落下。片足骨折のみで致命傷には至らなかったが、数メートル車道を移動し大型ダンプに轢かれ絶命。
  • 三人目は学校付近の一級河川から、水死体となって発見。検死の結果、最初の自殺者と推測。何かから逃れるように、喉には掻き毟った後が残っていた。
    • 憂姫の章での下りに、掻き毟るような偽装工作があっただろうか?
  • 自殺者は互いに別なクラスであり、偶発的な発生に思えた。
    • 女バス部員だと知っていたはずなのに、それは教えてくれなかった。
  • 日没まで後ほんの数分というところで、先輩とお別れ。
ヘラヘラ時雨

先輩とのことを表情から読み取られ、からかわれる時雨。

  • 逃げるように移動した犠牲者たち。
こよみの先輩像
  • 友達と談笑する先輩を見つけ、こよみから彼女が生徒会長であることを知る。
  • 先輩から自殺事件の詳細を聞いたことをこよみに伝えるが、意外なことにニヤニヤさせて聞いているだけであった。
    • 先輩に対する憧れがそうさせるのか。
  • 生徒会長は可愛いことで有名。
生徒会長との出会い
  • ずばり時雨の名前を言い当ててみせた生徒会長。しかし時雨は先輩に名乗ったことなどない。
  • 「相手が思っている事くらい、簡単に分かる」以前の先輩の言葉を言うと、「私が思っていた通りに」期待通りの人だと言う彼女。
  • 生徒会長の名乗った名前は千夜。
  • こよみとの会話中に突然襟首を掴まれ、生徒会室へ拉致。その前に居た彼女は、以前出会った彼女。
  • 千夜先輩、と呼ぶと、なぜ名前を知っているのかと怒り出す彼女。そして彼女は時雨の名前など知らない、と。
    • この時点では一夜ではなく、ほぼ確実に千夜だと思われる。
  • 胸ポケットを確認して怒りを解いた千夜。
  • 先刻時雨が会った人物との相違を指摘すると、「ドッペルゲンガーってヤツかもね」。自分が「その人のドッペルゲンガーなのかも」とも。
  • ドッペルゲンガーの話を遮る時雨に謝る千夜。

【千夜】
本当に、ごめんね――。
そんなつもりじゃ、無かったんだけど。

【千夜】
次からは特別に、先輩と呼ぶのを許してあげるわ。
私を名前で呼んだら――コロスからね。

  • 千夜先輩、と呼ぼうとしたところを、人差し指で塞がれる。先輩の手は、とても温かかった。
翌日のこよみ
  • 千夜という名前に違和感を覚えるこよみ。しかし彼女は結局、生徒会長の真の名前を言うことはなかった。
    • これも「バカっぽい子」の演技なのか。
  • 男嫌いで有名な生徒会長が、なぜ時雨に親しく接したのか。こよみから見れば、時雨が覚えていないだけでそれ以前に面識があったはず。
水曜日の夜
  • 探しもの、をする先輩。
  • 屋上で出会ったあの日、先輩が何を探していたのか。そして何故時雨の事を助けた、と言ったのか。それを時雨は分かった気になっていた。
  • 会話をするために死体を探している、と勘違いした時雨。しかし彼女は、首吊りに良い塩梅の場所を探していた。
  • 夕焼けは稜線の向こうに赤い一文字を描いていた。いつもならばお別れの時間。しかし今日は違った。
自殺事件概要:後編
  • 四人目は探偵気取りだった。
  • 自殺者は全て2年生の女子生徒。
  • 信憑性のある噂は、大量の無関係な噂で埋もれてしまっている。まるで誰かが意図的に流しているように。
  • 警察は殺人事件として捜査している。
六人目
  • 死ぬ間際のダイイングメッセージ。それは「ち が う」
  • 死体を見て「美しい」と思った時雨。先輩は時雨が、死者の意思を受け取ってしまった、と言う。屋上で出会ったあの時から時雨は変わった。死者の声を聞けるからではない。新しい世界を発見してしまったから。
  • 死に魅了された人間には、破滅しか待っていない。

【千夜】
でもね、私が――助けてあげる。
あなたのその醜くヒトから離れてしまった心も、私は肯定してあげる。
【千夜】
時雨君を救えるのは私だけ――。

  • 時雨の内面に生まれた新しい世界。それは、生と死の中間世界。彼女が立つその場所も、死者と生きる者との中間。幽霊の住む世界。
帰宅
  • 水曜日に遅く帰った時雨を心配していたこよみ。
  • 先輩に関わってから、こよみと憂姫、家族との関係が、どこかギスギスしたものになって来ていた。

【時雨】
いや、ご飯はまだ食べていない。
【こよみ】
そっか――それなら良かった。
嘘でも嬉しいよ。

翌日の朝

【千夜】
きっと――時雨君自身が私と会った事を、覚えていないでしょうから――。
Knight in Shining Armor――。

  • 生徒会長の周りの集団を、友達なんかじゃない、と言うこよみ。ああいう八方美人はとても孤独なものだと。
水族館チケット
  • こよみから、先輩を誘えと渡されたチケット。もとは時雨が家族に、3枚用意したもの。こよみが渡してきたのは2枚。
    • 一枚はこよみさんの監視用ですね、わかりますw

【千夜】
そういうの誘われる初めて……だわ。
いいわよ、――私で良ければ――ね。

【千夜】
さっきは色々と――邪魔、されたみたいだからね。
たまには二人っきりで会話をする――そういう機会があっても、いいんじゃない?

  • 「されたみたい」
    • つまり、今の千夜は、さきほどの生徒会長とは記憶を共有していない。
こよみの心

【こよみ】
あはは、怒らせちゃったんだね――。
でも、生徒会長が怒った所、誰も見た事がないんだよ。

    • 千夜の人格は、やはり普通に表に出ない。

【こよみ】
――最近、昔の夢ばかり見るんだ――私と時雨が子供の頃の夢……。
でも……時雨は違うでしょ。
【こよみ】
時雨は、自分の大切な人を――見ていればいい。

    • こよみが見る夢は、幸せな夢か、不幸な夢か。
憂姫に相談
  • ドッペルゲンガー。それは未来や過去の自分だったりする。全く別の姿かたちでも、自分だとハッキリ分かる。

【憂姫】
疑っても疑っても、疑っているという自分の心、自分の存在自身は疑えない。
【憂姫】
全てを疑っても、疑っている相手がこの世にいるということは疑えない。

    • 二文目が分からない。
  • そこにある千夜先輩と、時雨の想像してしまった千夜先輩。それが二人目の正体。憂姫はそう言いつつも、生徒会長と千夜先輩を区別して話す。生徒会長の名前は、千夜ではない。
昼間の千夜
  • 夕刻まで時間があるにもかかわらず、そこにいたのは千夜だった。
    • 水族館に誘ったときは夕方だった、のかな?背景が青かっただけで。

【時雨】
オレは――生徒会長と先輩とが、別人――なんじゃないかと考えてる。
でも、同じでも別でもそんなのは、本当はどうでもいいんだ――。
【時雨】
人間でも、幽霊でも――そんな事はどうだって――。
【時雨】
オレが必要としているのは人間でも幽霊でもない――。
千夜先輩――だからな――。

  • 幽霊とは信じられないような、暖かく、そして優しい体温。
夜の千夜
  • 知らずに眠っていた時雨と千夜。抱き合うような格好で。それを誰かが見ていた。
    • こよみが見てしまったんだろうな。
  • 事件の根底に流れるもの、ソレは、呪い。そして千夜には呪いが必要。

――殺して欲しいヒトがいるんですもの――。

    • それは一夜のことなのか、千夜自身のことなのか、はたまた別の誰かなのか。
  • 大切な人を守るために、死んでもらわなければならない人物がいる。しかしその人を殺すことはできない。

【千夜】
ふふ――見かけによらず、あなたも恐ろしいのね時雨君。
でもそれはダメよ――何故なら、殺す事は失敗してしまったんですもの。
【千夜】
あなたの手によって、ね――。

  • 自分を幽霊と呼ぶ先輩に、チョップをかました時雨。彼への言葉は「ありがとう」。
独りの朝
  • 起こしに来なかったこよみ。学校にも来ていないこよみ。
こよみ
  • 時雨を巻き込みたくない想いで、自殺事件のことを隠していたこよみ。

【こよみ】
私がいったい――何を言いたいかって?
それはね――。

――お別れだよ――。

【こよみ】
ごめんね、これは――私の小さなプライドなんだ――。
時雨の最初は誰にも渡さない――それが、私という存在のはずだったんだけど…。
【こよみ】
もう、ダメになっちゃったんだ。
だから時雨にこれをあげるよ。

    • こよみが渡した赤い本の指輪。彼女は「だから」と言ったのだ。
  • 次は自分の番だと言って、走り去ったこよみ。
捜索
  • 親しそうにしていたのに、こよみを外見的特徴で判断する先輩。
    • 千夜自身は、こよみと直接の面識がない。

【時雨】
なあ――先輩。
呪いの連鎖は止めないんじゃ――なかったのか?
【千夜】
事情が変わったの。
だってこれは――あなたの、事――なんですもの。

  • どこまで知っていたんだという問に、知らなかったと見え透いた嘘をつく先輩。誰も信じられなくなった時雨は、独り勘に任せて走りだす。

後ろからいくつかパロールというのが投げかけられたが、全てを無視した。
ああ――でも、これじゃあ――。

さっきまでのこよみと――一緒じゃないか……。

    • 指輪の保持者は、こよみから時雨へ。
  • 呪いの手招きに従い、時雨の足が踏み切りに向かって歩き出す。それを止めてくれた先輩は、泣いていた。

【千夜】
私を……置いていくのかと思った……。
変――よね――。
【千夜】
私は、死にたがってばかりいたのに――。
――嫌……なの。
【千夜】
大切な人に置いて行かれるのは……すごく嫌なの――。

    • 彼女は姉のことを、一夜のことを言っているのか?
  • 踏み切りに立つこよみ。抱き合う時雨と千夜を呪いながら電車に吹き飛ばされた。

……シネバ……イインダヨ……。
オマエラナンカ……シネバ……。

    • 指輪の呪縛からは解放されていないのか…?
水曜日の誘い
  • 生徒会長が電話で語った言葉。もう一人の自分が見えているんでしょう?
    • 時雨はソイツを、自分では無いと否定しきれないだけで、自分だとハッキリ分かっている訳ではない。
  • 千夜をもう一人の自分と言う生徒会長。時雨君を助けてあげる、と言う彼女から、時雨は逃げ出した。
  • 呪いを視界に捉えて、漏れた言葉は「違う」。よろよろと不確かな足取り――逃げる――自分。
七人目
  • 時雨の指輪を奪い、七人目となることを選んだ千夜。

【千夜】
ねえ――時雨君?
【千夜】
最後に、私のわがままを叶えて欲しいの。
【千夜】
次に私にそっくりの――いいえ……。
私に出会ったら――。
【千夜】
私の本当の名前を――呼んであげて。
それはあなたにしか出来ない事だから……。
【千夜】
最初から……こうするつもり――だった。
だって、あの人の感情に気が付いて――しまったから。

【千夜】
時雨君――最後にあなたの名が呼べて、私は……
幸――せ――。

    • エピローグでの一夜の様子からすると、この時点での千夜は千夜だった。時雨が間違えてしまった、命がけで伝えた願い。

――どさりと、人の倒れる音が響く。
その音は妙に軽々しく、まるで――彼女が一人分の重さしか無い様だった――。

消えた千夜

先輩はすぐに回復し、自力で学校までたどり着いていた。
だけど――そこで力尽きたようだった。

    • 「学校まで」という表現から、先程までと時間の隔たりがあることが感じられる。彼女が倒れたのは、学校の中だったはずなのだから。 しかし面会した時雨は「昨日一夜先輩が手を差し伸べてくれた時」と言っているので、やはり時間はそれほど経っていないのか?
  • 生徒会長の名前を一夜と呼んだ時雨。
    • 千夜と、呼ぶべきだったのだろうか?

【一夜】
あなたに千夜と名乗った――嘘を吐いたとバレた時、千夜はカンカンに怒っていました。
最初から一夜と伝えておけば、もう少し波風も立たない終わり方が出来たでしょう――。
【一夜】
でも、私は気が付いて欲しかったんです――他の誰でもない、あなただけに……。
私達にとって、時雨君は特別な存在……だったから。
【一夜】
千夜と名乗ったのは、二人の私に気がついて欲しかったからです。
もっとも、こよみちゃんが私の名前を忘れていたのは――予想外でしたけど。

【一夜】
千夜は滅多に表に出てきません。
私が精神的に追い詰められた時や、生徒会長として演台で話をしなければいけない――張り詰めた時のための防御人格なんです。
【一夜】
時雨君――あなたはきっと、私にとって危険な人物なんでしょうね。
そうでなければ……千夜がこれだけ表に出てきた理由が説明付きません。
【一夜】
いえ――それとも――。
そうだとしたら……ちょっと抜け駆けされた感じです。

【時雨】
人に文句を言ったり、喧嘩したり、とにかく自分の思ったことをハッキリ喋る。
そのために千夜は生まれた――だろ?
【一夜】
ふふふ、なんでもお見通しなんですね……。
私は人から嫌われることを極端に恐れていた、だから人も怖かった。

    • 後編で千夜が語ったのとはずれている。彼女は自分は鏡、そう言ったはずだ。少しずつ姉に似ていく千夜と、分かたれた鏡の自分だと。

【一夜】
千夜は蝶なんですよ。
そして、醜い芋虫は私、一夜――。
【一夜】
あの夕焼けの日、私は変わるつもりだったんです。
【時雨】
ちょっと待てよ、先輩。
千夜が脱皮した蝶だと言うなら、一夜……あなたはどうなるんだ?
【一夜】
消えてなくなります。

【一夜】
夕焼けの日に、千夜に頼みました。
私を……一夜を消して欲しいって。
【一夜】
失敗しちゃいましたけど……。
誰かさんのせいでね――。

    • 千夜がその依頼を了承するだろうか?
  • 一夜の告白?を断った時雨。

【一夜】
今度はね、一夜として会って欲しいの。
場所と時間は……。
【時雨】
大丈夫だ、分かってる。
【一夜】
じゃあ、また屋上で会おうねっ!!
先輩との約束だよ。

    • 「また」と彼女は言った。エピローグの時間軸は、いったいどの時点なのだろうか?
巻戻し
  • 甘い言葉を囁くこよみの形をした何か。
    • 死を感じた時雨が、本能的に巻戻しを図ったのか?